過労死防止大阪センター

和歌山の介護老人施設職員過労死事件で勝訴判決!

和歌山の介護老人施設職員過労死事件で勝訴判決!
和歌山県の介護老人福祉施設で勤務していた男性職員(当時49歳)がクモ膜下出血を発症して死亡した事件の民事訴訟で、2015年8月10日、次の新聞記事のとおり、和歌山地裁で勝訴判決があった。

◆職員死亡「過労が原因」施設側に7千万賠償命令
読売新聞 8月11日付
和歌山県の介護老人福祉施設の男性職員(当時49歳)がくも膜下出血で死亡したのは過労が原因として、遺族が、施設を運営する社会福祉法人などに約8300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、和歌山地裁であった。
山下隼人裁判官は、男性が死亡直前の4か月間に月約90~150時間の長時間労働をしていたと指摘し、施設側に約7000万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2003年から、和歌山県の介護老人福祉施設に経理担当者として勤務。同僚職員の退職に伴って09年9月頃から業務量が増加し、10年10月に死亡した。遺族は12年3月に提訴していた。
判決で山下裁判官は、厚生労働省の基準に照らして「著しい疲労の蓄積をもたらす過重な業務に就いていた」と言及し、「施設側は、男性の業務内容や業務量を適切に調整する措置を採らなかった」と述べた。
また、男性が働き続けていた場合、時間外労働が継続した可能性が高いとして、月45時間分の時間外手当(月額約9万5000円)も逸失利益として賠償額を算定した。遺族側代理人の弁護士によると、こうした判断は異例という。

◆本判決の画期的な点
この判決は、以下の2点で画期的な判決である。
(1)過失相殺を認めなかったこと
(2)逸失利益の計算に当たってサービス残業月45時間分の時間外手当を基礎収入に含めたこと