森岡孝二代表の急逝を悼んで
当会の代表であり、過労死等の遺族らと共に、過労死等防止対策推進法の制定の運動に尽力された森岡孝二関西大学名誉教授は、本年8月1日、慢性心不全急性増悪により亡くなった。
先生が未だ若手研究者だった頃、同じ志の若手経済学者と共に、「人間発達の経済学」の市民講座を開催していた。私はその受講者として初めて先生と出会った。
過労死等は、働くことを通じて「人間発達」を実現するという、先生の研究テーマにとって許しがたい労働現場の状況と考え、過労死問題の運動への貢献と共に、多くの著述を残された。
先生の取り組みは、非正規・若者の労働問題、更には貧困問題と、「人間発達」を阻害する多くの課題にまで及んでいた。
今年の「働き方改革」一括法案に対しては、過労死防止への逆流の動きとして、危機感を持って、当会の運動を強化しなくてはいけないことを語っていた矢先の急逝だった。
心身の健康はもとより、家庭・文化的生活を通じて「人間発達」が保障される働き方を、との先生の思いを胸に刻んで、当会の歩みを進めます。
過労死防止大阪センター 代表幹事 弁護士 松丸 正