過労死防止大阪センター

過労死防止大阪センター・第11回総会・シンポジウムを開催しました

4月25日に第11回過労死防止大阪センターの総会およびシンポジウムをエルおおさか本館研修室2で開催しました。

今回のテーマは「「新しい働き方」にひそむ労働問題」として、これまであまり取り上げられてこなかったリモートワーク(テレワーク)、副業(ダブル・トリプルワーク)、スポットワーク、そして公益通報者の過労死についてご報告いただきました。

まず「リモートワークと労働時間管理」というテーマで、笠置裕亮弁護士(横浜法律事務所)から、担当された横浜市の補聴器メーカー「スターキージャパン」で働いていた50歳代の女性社員が、テレワークでの長時間労働によって適応障害を発症し、労災認定を受けた事案についてご報告いただきました。

次に「ダブルワークと過労自殺」について、立野嘉英弁護士(吉岡・立野法律事務所 )から、岐阜大学で研究員を務めながら測量などを行う会社で働いていた際に、ハラスメントを受けて2021年に自死した60歳の男性の事案についてご報告いただきました。

また「スポットワークは危ない働き方」と題して、村田浩治弁護士(堺総合法律事務所)から近年急激に広がるスポットワークやスキマバイトといった単発の雇用について、禁止された日雇い派遣の新しい形態としてスポットワークが出現してきており、労災事故や賃金未払いなどの際の責任関係が曖昧になるという問題点についてお話しいただきました。

最後に「守られない公益通報者」に関して、松村隆志弁護士(いわき総合法律事務所)から、和歌山市の児童館で勤務していた際に内部の不正な会計処理を公益通報した後の配慮不足を理由に精神疾患を発症して2020年に自死した20代の男性職員の事案についてご報告いただきました。男性職員のご遺族も発言され、公益通報者が守られず自死まで追いやられる不条理な状況と公務災害と認定されていない現状について問題提起をされました。

このように、これまで十分に取り上げられてこなかった問題についてシンポジウムでは議論しました。今回のシンポジウムには、会場33人、オンライン15人の合計48人にご参加いただきました。シンポジウム後に行った総会では、昨年度の会計および事業報告、そして今年度の活動方針について報告され全会一致で可決されました。