過労死防止大阪センター

活動紹介

11.20過労死等防止啓発月間シンポジウム開催
― 過労死救済元年から過労死防止元年へ ―

11月20日、エルおおさかで「過労死等防止啓発月間シンポジウム」が開催されました。主催は「過労死等防止大阪センター(仮称)」結成準備会で大阪労働局、大阪府から後援をいただき、大阪労働局、連合大阪、大阪労連、大阪全労協から挨拶を受けました。

行政、労働3団体が移動に会し挨拶をしていただくという画期的な集会となりました。集会の参加者は141名で、開会挨拶、来賓挨拶、基調講演、過労死を考える家族の会訴え、基調報告、閉会挨拶はいずれも迫力、臨場感あふれるもので大阪における過労死防止にむけての大きな第一歩となりました。

なかでも過労死を考える家族の会7名の訴えは、「何としてもこの日本から過労死をなくしたい、自分たちのような悲しい思いをする家族をこれ以上つくらない…」という強い思いの臨場感溢れるもので参加者の涙をさそい「過労死はあってはならない」と全員の心を一つにするものでした。
20151120

3.13過労死防止大阪センター結成総会開催
― 大阪から日本から過労死をなくために ―

2015年3月13日、エルおおさかで過労死防止大阪センター結成総会を開催しました。100名の会場に140名を超えるご参加をいただき立ち見の人も多い中で熱気あふれる結成総会となりました。

なお、当日はテレビカメラも入り、NHKの20時45分のニュースで報道されました。また、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、赤旗新聞、 民主新報、神戸新聞の記者の方々にも参加していただきました。

総会はまず松丸正弁護士(過労死防止大阪センター代表幹事)の開会のあいさつで始まり、ご来賓として高井吉昭部長(大阪労働局労働基準部)よりご 挨拶をいただきました。

第1部では粥川裕平精神科医(名古屋工業大学名誉教授)の講演と、寺西笑子さん(全国過労死を考える家族の会代表)、西野方庸さん(関西労働者安全センター事務局長)、橋本芳章さん(NPO労働と人権サポート・大阪事務局長)、北口修造さん(大阪労働安全センター元事務局長)によるリレー トークが岩城穣副代表幹事(過労死防止大阪センター副代表幹事)の司会で行われました。

第2部では過労死防止大阪センターの結成総会で事務局長の柏原より規約・基本方針・役員の提案を行いました。その後、友延秀雄幹事より設立宣言提案を行い、小池江利幹事の閉会の挨拶で総会を締めくくりました。

第1部、粥川裕平精神科医、名古屋工業大学名誉教授の講演で特に印象に残ったのは、「食う、寝る、遊ぶができない者は働くべからず」という話でした。うつ病から回復する場合、まず、食欲や性欲、睡眠欲など基本的な欲求から回復してくる。うつ病で休職する社員が遊びに行っていたなどと使用者が聞けば、ずる休みではないか、怠けているなどと思われてしまうが、正しくは回復に向かっていると評価すべきであるということです。科学的知見に基づいた物の見方の重要性を考えさせられる話でした。

続いて、リレートークでは、司会の岩城穣副代表幹事のリードで、これまで大阪で過労死をなくす活動に携わってこられた団体を代表する方々から、これまでの活動、今後の課題,過労死等防止対策推進法への期待を語っていただきました。

その中で、これから取組みの重要なポイントとして「産業医と医師会との意見交換」、「過労死遺族の話を聞く機会をつくっていくこと」、「労働組合が職場から過労死を出さない宣言をすること」の3点が大切であると強調されました。

第2部の「過労死防止大阪センター結成総会」では、事務局長の柏原より規約・基本方針・役員の提案を行い満場の拍手で採択されました。そして「一つ一つの取組みでも救われる命は必ずある。多くの取組みを積み重ねれば多くの命を救うことが出来る…」と話した後、大阪センターとして国や自治体と連携して調査・研究や啓発活動、相談活動などを進め、大阪から過労死をなくしていくと決意を表明しました。

過労死防止の取組みはまだ始まったばかりですが、多くの団体や個人から参加・ 賛同をいただき力強いスタートを切ることが出来ました。昨年成立した過労死防止法を実のあるものにして、この大阪から日本から過労死をなくすための取組みを進めていく集会になりました。
20150313

 

2015.11.9

「過労死等防止対策推進シンポジウム」開催  2015年11月9日、厚生労働省の主催で「過労死等防止対策シンポジウム」が開催されました。企業関係者が中心の200名を超える参加者でこれまでとは違った意味で有意義なシンポジウムとなりました。  なお、当日はテレビカメラも入り、毎日放送の翌日の朝のニュースで報道されました。また、大阪日日新聞の記者の方にも参加していただきました。  シンポジウムはまず高井吉昭部長(大阪労働局労働基準部)の主催者挨拶で始まりました。引き続いて「基調講演Ⅰ」で岩城穣弁護士(過労死防止全国センター事務局長)、「過労死遺族の訴え」で6名の遺族の方の訴え、「基調講演Ⅱ」で山崎喜比古教授(日本福祉大学特任教授)の講演がありました。続いて各分野からの報告で、寺西笑子さん(全国過労死を考える家族の会代表)、西野方庸さん(関西労働者安全センター事務局長)、鈴木成美さん(茨木地域産業保健センター コーディネーター)、柏原英人(過労死防止大阪センター事務局長)によるリレー トークが岩城穣弁護士(過労死防止全国センター事務局長)の司会で行われました。最後に松丸正弁護士(過労死弁護団全国連絡会議代表幹事)の閉会の挨拶でシンポジウムを締めくくりました。  高井部長は厚生労働者の過労死防止対策の取組について語られました。特に長時間労働対策の強化は喫緊の課題として、大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を設置し長時間労働対策について省をあげて取り組んでいること、大阪でも過重労働等撲滅チームを設置し取り組んでいることなどを話されました。

基調講演Ⅰの岩城穣弁護士は「過労死等防止大綱の内容と企業に求められるもの」と題して「過労死防止大綱」の内容についてわかりやすく解説した後、過労死防止のために企業に求められることについて説明しました。その中で岩城弁護士は、最高責任者・経営者が事業主として過労死は発生させないという決意をもって取組必要があること、過労死が発生した場合には、原因究明、再発防止に努めることなど、企業に求められることを明快に述べ、企業にその責任を果たすことを求めました。

過労死を考える家族の会6名の訴えは、「何としてもこの日本から過労死をなくしたい、自分たちのような悲しい思いをする家族をこれ以上つくらない…」という強い思いの臨場感溢れるもので参加者の涙をさそい、様々な立場の企業関係の人々も含めて「過労死はあってはならない」と全員の心を一つにするものでした。

基調講演Ⅱでは山崎特任教授から「自分も過労死ラインンを超える中で働いてきた。遺族のみなさんの訴えは身につまされ大変共鳴できる…」と述べられた後講演に入られました。講演では「過労死を出さない職場づくりをどうするか」と題して長時間労働規制のワークライフ・バランス確保との関係での重要性についてわかりやすく解説されました。

続いて、「各分野からの報告では」では、司会の岩城穣弁護士のリードで「大阪から過労死をなくすために」のテーマで各分野から語っていただきました。

鈴木成美さんは地域産業保健センターでの取り組みを紹介した後、「労働者のかろうしぼうしは、あくまでも、事業者・管理監督者・人事労務担当者だと思います。会社の成績も大事ですが、有能な人材1人、1人を、過労により健康を損ねないようにすることが企業のコンプライアンスではないでしょうか。」と締めくくりました。

西野方庸さんは「過重労働を廃止に関連する施策はさくげんされてきたと…」問題意識を述べられた後「小規模な事業場とそこで働く労働者が網にかかる施策が必要ではないか」と締めくくりました。

寺西笑子さんは、「全国過労死を考える家族の会の現状と課題」と題して家族の会の主な活動、遺族の現状と課題について述べた後、産学官民で、「過労死をゼロにし健康で充実して働き続けることのできる社会へ実現を」と訴えられました。

柏原は、「過労死防止大阪センター」の設立と今後の取組について述べた後、過労死ゼロの実現について展望を語りました。

最後に松丸正弁護士が「これ以上の悲しい家族を出さないためにみんなで力を合わせて過労死をなくしましょうと」力強く訴えてシンポジウムを締めくくりました。

今回のシンポジウムにはこれまでにはなかった企業の担当者が多く参加していただきました。その意味で大変意義深いシンポジウムとなりました。

 

過労死防止大阪センターの結成総会(3月13日)以降の主な活動

  • 3月17日 大阪労働局・大阪府との合同懇談会
  • 4月22日 池田市、豊中市との懇談会
  • 4月22日 関西大学ゼミ啓発講座
  • 5月14日 啓発講座について大阪府教育委員会高校学校課との懇談
  • 5月16日 第88回日本産業衛生学会「地域シンポジウム」パネラー参加3名
  • (5月23日 過労死防止学会結成総会)
  • 6月26日 立命館大学啓発講座
    日時:2015 年 6月 26日(金曜日) 14:40~16:10
    場所:立命館大学いばらきキャンパス AS257 講義室
  • 9月15日 第2回大阪労働局・大阪府との合同懇談会

今後の予定

  • 11月9日(月)過労死等防止啓発シンポジウム 14:00~17:00
  • 11月 大学・高校への過労死啓発講座提案

2. 活動方針

1.11月啓発月間へのとりくみ

過労死等防止啓発月間(11月)に、厚生労働省・大阪労働局が主催する過労死等防止啓発月間シンポジウムに協力するなど、ひろく市民に向けて過労死の実態を伝え、防止の必要性・緊急性を訴える。

2.大綱づくりへのとりくみ

今年夏頃に定められる予定の「過労死等防止対策に関する大綱」(防止法第7条)を充実した内容にするために、積極的に提言をするなどのとりくみを行うとともに、大綱の実現のために大阪労働局及び大阪府下の地方自治体に対して積極的に働きかけ、建設的な提案を行う。

3.学校教育へのとりくみ

  • 若者の過労死・過労自殺が深刻な現状を踏まえ、学校教育とくに高校、大学における教育活動を重視してとりくむ。内容としては、過労死等の深刻な実態、働く者のいのちと健康を守ることの大切さ、ワークルール等を対象年齢に合わせて、わかりやすく説明する。
  • そのために、過労死家族、弁護士、その他専門家が学校等を訪問し、出張授業等を実施する。その際、学校関係者、大阪労働局、自治体関係者とも適切に連携していく。

4.調査研究のとりくみ

(1)過労死の実態調査と研究を促進するために、効果的な調査研究を政府及び地方自治体が行うよう働きかけるとともに、民間レベルでの適切な調査研究を進めていく。
(2)そのために、新たに設立が予定されている「過労死防止学会」(仮称)、専門家、各省庁、自治体などと連携をしていく。

5.人材育成と連携

  • 過労死を防止するための人材を育成し、また、これらの人々と連携を進めていく。
  • 過労死を防止するために活動している過労死防止全国センター、諸団体、専門家、議員、市民と連携を強めていく。

6.新たな法制上、財政上の措置への働きかけ

以上の諸活動を進めながら、防止法第14条に規定する過労死を防止するため必要な法制上、財政上のより進んだ措置を政府が適切に講ずるように働きかけていく。

7.会員の拡大

当センターが効果的な実践を進めていくことができるように、設立時のメンバーに加えて、趣旨に賛同する人々が当センターに加入し、共に活動するように必要な組織活動を行う。

8.健全な財政の確保

当センターの趣旨に賛同する個人からの寄附を確保し、また、その他の活動を通じて、当センターの活動資金を健全に確保し、かつ、必要な諸活動に適切に支出する。

9.会員の健康に留意した活動

いのちと健康を守るための活動を進めるために、その活動があまりに過重となり健康を損なうことがあってはならない。当センターの活動においては、会員一人ひとりの健康を大切にすることをモットーにして会の運営を進めていく。