厚生労働省による「過労死防止・労働条件に関する啓発授業」がスタートしました
今年度より厚生労働省による「過労死防止・労働条件に関する啓発授業」がスタートしました。すでに関西で26校、29回の啓発授業が実施・予定(2017.1.27現在)されています。これまでに実施された中で関西大学第一高等学校と立命館大学の啓発授業を紹介します。
1.関西大学第一高校 3年生(約400名)
・日時 11月17日(木)(1コマ:2時10分〜2時55分)
・講師 清水 亮宏弁護士、富田 真平弁護士、寺西笑子(全国過労死を考える家族の会代表)
・使用したパワーポイント 『「働く」ルールを知って、いききと働くために』
・内容
(1)『あなたならどうする?〜ブラックバイト編〜』マンガの寸劇(両弁護士が声の出演)
(悪い上司役=清水弁護士、関大二郎役・関大一郎役=富田弁護士)
(2)『あなたならどうする?〜ブラック企業編〜』マンガの寸劇(両弁護士が声の出演)
(3)ここから、実際にあった話し、『過労死遺族のお話し』寺西登壇(約10分)
(4)両弁護士から『世の中にこんな企業がある〜ブラック企業〜』
・長時間労働、パワハラ、残業代カット、辞められない、心と体が壊されていく(ブラック企業)
・ユニオンに相談に、団体交渉、会社と交渉、アクションを取ること、専門家に相談する、
・ブラック企業から自分の身を守るために、5つの合言葉
・ブラック企業に入らないために、労働時間に関するルール、過労死ライン、
・有給休暇を使おう、会社の辞め方、会社をやめさせられそうになったら、
・働く人のための社会保険制度、働き方を考える=生き方を考える、
・最後に、「寺西笑子さんのお話し」
・生徒の感想文
「将来、過労死しないためにも、もっといろいろなことを学ばないといけないことが分かった。おかしいと思ったことはしっかりと言う強い気持ちをもって生きようと思う。」
「私たちは自殺するくらいなら仕事を辞めるだろうと考えがちですが、肉体的、精神的にも追いつめられれば、正常な判断ができなくなるということを知るべきだと思いました。生きていくために仕事をするのだといういしきをもってこれからの機会にやくだてていきたいと思います。」
「日本の労働として長時間労働が普通というのが現状なのかなと思いました。ですが、それは間違っているのだと痛感しました。」
・【講師 寺西さんの感想】
当日は、若い両弁護士の息の合った寸劇が功を奏し、寺西の話もシナリオとよくマッチして、聴いていた学生さんも「なぜ過労死するのか」「何がおかしいこと」なのか、「おかしい」と気づけば「どうすればよいのか」たいへん分かりやすかったと思います。
両弁護士の先進的な取り組みで、学生さんも集中して聴いておられました。
とても心に残る授業になったのではないかと思います。
とてもよかったです。
・【報道関係】
17日の午後6時過ぎに、各局ニュース報道されました(NHK大阪、毎日TV、関西TV)、(読売新聞、朝日新聞、共同新聞)
2.立命館大学啓発授業 当日受講数226名
・日時 12月9日(金)14時~15時20分
・講師 森岡孝二 関西大学名誉教授
テーマ 長時間労働の現状と過労死防止法の課題
西垣廸世 全国過労死を考える家族の会兵庫代表
テーマ 「息子の過労死から過労死防止を願う」
-大手電機メーカーIT関連子会社システムエンジニア過労死事件―
・感想文
「今日の講義を聞いて、過労死は自分とは関係のないという考えが大きく変わり、思っていたより身近な存在であるということが分かりました。企業側の改善はもちろん必要ではあるけれど、それと同時にもし自分がブラック企業に就職してしまったら、過労死をふせぐためにもまず誰かに相談することが大事だと思いました。(3回生女性)」
「森岡さんと西垣さんの授業を聞いて、今までは他人事としてしか聞いてこなかった。過労死について、来年4月から社会人として生活していく身として、初めて真剣に聞きました。(4回生女性)」
「実際に労災の被害に遭われた方のお話を直接聞けてすごく貴重でした。本当に色々と考えさせられました。仮に自分が死んだ場合、親や周りの人はこんな思いをするのかと改めて知り、仕事に対する価値を再考するきっかけになりました。(4回生男性)」
この高校・中学・大学への「過労死防止・労働条件に関する啓発授業」は、生徒・学生が社会へと巣立った後、過労死のリスクを回避し、健康でイキイキと働いていくための大きな力となっていくと思います。 なお、ご希望される学校は当センターへお申し込みください。お待ちしています。