過労死防止大阪センター

11.9「過労死等防止対策推進シンポジウム」開催

2015年11月9日、厚生労働省の主催で「過労死等防止対策シンポジウム」が開催されました。企業関係者が中心の200名を超える参加者でこれまでとは違った意味で有意義なシンポジウムとなりました。  なお、当日はテレビカメラも入り、毎日放送の翌日の朝のニュースで報道されました。また、大阪日日新聞の記者の方にも参加していただきました。  シンポジウムはまず高井吉昭部長(大阪労働局労働基準部)の主催者挨拶で始まりました。引き続いて「基調講演Ⅰ」で岩城穣弁護士(過労死防止全国センター事務局長)、「過労死遺族の訴え」で6名の遺族の方の訴え、「基調講演Ⅱ」で山崎喜比古教授(日本福祉大学特任教授)の講演がありました。続いて各分野からの報告で、寺西笑子さん(全国過労死を考える家族の会代表)、西野方庸さん(関西労働者安全センター事務局長)、鈴木成美さん(茨木地域産業保健センター コーディネーター)、柏原英人(過労死防止大阪センター事務局長)によるリレー トークが岩城穣弁護士(過労死防止全国センター事務局長)の司会で行われました。最後に松丸正弁護士(過労死弁護団全国連絡会議代表幹事)の閉会の挨拶でシンポジウムを締めくくりました。
高井部長は厚生労働者の過労死防止対策の取組について語られました。特に長時間労働対策の強化は喫緊の課題として、大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を設置し長時間労働対策について省をあげて取り組んでいること、大阪でも過重労働等撲滅チームを設置し取り組んでいることなどを話されました。

基調講演Ⅰの岩城穣弁護士は「過労死等防止大綱の内容と企業に求められるもの」と題して「過労死防止大綱」の内容についてわかりやすく解説した後、過労死防止のために企業に求められることについて説明しました。その中で岩城弁護士は、最高責任者・経営者が事業主として過労死は発生させないという決意をもって取組必要があること、過労死が発生した場合には、原因究明、再発防止に努めることなど、企業に求められることを明快に述べ、企業にその責任を果たすことを求めました。

過労死を考える家族の会6名の訴えは、「何としてもこの日本から過労死をなくしたい、自分たちのような悲しい思いをする家族をこれ以上つくらない…」という強い思いの臨場感溢れるもので参加者の涙をさそい、様々な立場の企業関係の人々も含めて「過労死はあってはならない」と全員の心を一つにするものでした。

基調講演Ⅱでは山崎特任教授から「自分も過労死ラインンを超える中で働いてきた。遺族のみなさんの訴えは身につまされ大変共鳴できる…」と述べられた後講演に入られました。講演では「過労死を出さない職場づくりをどうするか」と題して長時間労働規制のワークライフ・バランス確保との関係での重要性についてわかりやすく解説されました。

続いて、「各分野からの報告では」では、司会の岩城穣弁護士のリードで「大阪から過労死をなくすために」のテーマで各分野から語っていただきました。

鈴木成美さんは地域産業保健センターでの取り組みを紹介した後、「労働者のかろうしぼうしは、あくまでも、事業者・管理監督者・人事労務担当者だと思います。会社の成績も大事ですが、有能な人材1人、1人を、過労により健康を損ねないようにすることが企業のコンプライアンスではないでしょうか。」と締めくくりました。

西野方庸さんは「過重労働を廃止に関連する施策はさくげんされてきたと…」問題意識を述べられた後「小規模な事業場とそこで働く労働者が網にかかる施策が必要ではないか」と締めくくりました。

寺西笑子さんは、「全国過労死を考える家族の会の現状と課題」と題して家族の会の主な活動、遺族の現状と課題について述べた後、産学官民で、「過労死をゼロにし健康で充実して働き続けることのできる社会へ実現を」と訴えられました。

柏原は、「過労死防止大阪センター」の設立と今後の取組について述べた後、過労死ゼロの実現について展望を語りました。

最後に松丸正弁護士が「これ以上の悲しい家族を出さないためにみんなで力を合わせて過労死をなくしましょうと」力強く訴えてシンポジウムを締めくくりました。

今回のシンポジウムにはこれまでにはなかった企業の担当者が多く参加していただきました。その意味で大変意義深いシンポジウムとなりました。